国宝「十一面観音」の「渡岸寺観音堂（どうがんじかんのんどう）」

渡岸寺観音堂（向源寺）
どうがんじかんのんどう（こうげんじ）
2021.07.21

琵琶湖の北東部、長浜市高月にある「十一面観音」が安置されているお堂「渡岸寺観音堂（どうがんじかんのんどう）」です。



国道８号沿いを走っていると、「国宝 十一面観音」という案内板を見掛けます。
今まで何十回も見てきた案内板で、国道から何百mって書いてあります。
気にはなっていたんですが、いつも通り道（目的地に行く途中）ってこともあり、なかなか寄れなかったんです。

今回は近くの「麺屋 ジョニー本店」に行って少々時間もあったので、「今日しかない、場所だけでも覚えよう」と思い立ち行ってみました。

《 麺屋 ジョニー本店のこってりつけ麺 》

まず８号線からJR北陸本線高月駅へ、駅横の観光案内板によると、この駅の裏らしいので、線路を渡って向こう側へ。
すると幹線道路沿いに「向源寺」の駐車場、直ぐ脇に「観音堂参道」と看板がありました。





民家の間の細い路地を進むと「向源寺」があり、更に「観音堂→」との看板が。
観音堂は向源寺とは別のところにあるようです。
更に更に「→」の通りに進むと「観音堂」の正面に出ました。





思ったより広く、仁王門も立派でした。







仁王門をくぐると、ずっと向かうに観音堂が見えます。



観音堂の手前に「案内所」があり、国宝十一面観音」を拝観するには拝観料が必要です。









この十一面観音は、日本全国に七体ある国宝十一面観音の中でも最も美しいとされているそうです。
（他、奈良聖林寺・奈良法華寺・京都六波羅蜜寺・大坂道明寺・京都観音寺、奈良室生寺）
像の高さは頭頂部を含めて194ｃｍとほぼ等身大、構造は檜材の一木彫りで作られています。
向源寺（こうげんじ）の寺伝によると、奈良時代の天平8年（736）に聖武天皇の命で「泰澄（たいちょう）」が彫ったといわれています。





この地は京都から見て北東の鬼門（丑寅）方向にあたり、都を守護するため鬼門封じを考えて寺や仏様を祀ったためだと考えられています。
京都の北東部には比叡山延暦寺がありますが、更にその裏側に当たる琵琶湖の対岸も鬼門封じの守り所としていました。


パフレットより

十一面観音の特徴は立ち姿の美しさです。
そして、特徴的なのは頭頂部。
一般的には、十一面観音像の頭の上に十一の観音面を360度ぐるりと見回すように配置されています。
この像もそうなのですが、真後ろの観音面は歯をむき出して笑っている暴悪大笑面（ぼうあくだいしょうめん）の像があるのです。
鬼門の方向（北東方向）からやってくる邪悪なものをこの暴悪大笑面が防いでいるのでしょうか。

向源寺は、奈良時代に泰澄（たいちょう）」が彫った十一面観音像を祀り、光眼寺を建てたのが始まりとされていて、790年頃には最澄（さいちょう）が七堂伽藍を建立するほど発展。
しかし、他の寺社仏閣同様、戦火にあい焼失、その後、この寺は天台宗から浄土真宗に改宗し、寺の名前も光眼寺から向源寺（こうげんじ）と改めて再建されました。

しかし、浄土真宗の本尊は阿弥陀如来であるため、この十一面観音像は向源寺の飛地（とびち）境内の観音堂に祀られました。
観音堂の名前も向源寺ではなく、この地域の名前の渡岸寺（どうがんじ）をとって渡岸寺観音堂と呼ばれています。
なお、十一面観音像は、この観音堂ではなく収納庫である「慈雲閣（じうんかく）」に祀られているそうです。

---

渡岸寺観音堂（向源寺）
長浜市高月町渡岸寺50番地

渡岸寺観音堂国宝維持保存協賛会
0749-85-2632
仏像拝観料 500円
拝観時間 9:00～17:00